2012年 05月 31日
くまとやまねこ |
ある朝、くまは ないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです。
メイが死んで、ワタシのココロは折れてしまいました
いかな能天気なおばさんでも・・・こんな「悲しみ」には耐えられなかった
ただ座っているだけで涙がはらはらとこぼれます
ムスコの病室が、完全無菌室からビニールカーテンの部屋に移っていてよかった・・・
ビニールで隔たれたムスコの表情は、ボンヤリとしか見えません
ワタシは 黙って、あるいは笑った顔のままで、涙がこぼれるままにしていました
本で顔を隠して・・・
チビを送った学校からの帰り道・・・
チビが寝入った布団の中で・・・
子どもたちに知られぬよう、
ワタシは ただ黙って泣いていました
自分を責めるしかなかった・・・・
後悔しかなかった・・・・
メイを置き去りにしてきたこと
最期に抱いてやれなかったこと
「大好きだよ」と言ってやれなかったこと
その慟哭の中でこの本に巡り逢いました
ワタシハ ナンデナイテイルノカナ・・・
めいガ カワイソウデナイテルンジャナクテ
ジブンガ カワイソウデナイテイルノカナ・・・
・・・・・めいハ・・・・シアワセダッタカナ?
この本を読み進めるうちに、
ワタシの中の「悲しみ」が、少しずつ・・・
メイと「巡り逢えた喜び」に、
メイと「共に生きることができた喜び」に、
静かに昇華してゆきました
・・・・・やまねこが、バイオリンをひいています。
おんがくをききながら、くまはいつのまにか、目をとじていました。
すると、いろいろなことが思いだされるのでした。
・・・・・それからくまは、ことりといっしょにした たのしかったことを、
ひとつひとつ思いだしました。
・・・・・くまはなにもかもぜんぶ、思いだしました。
ワタシは、メイのこと全て・・・
ワタシを呼ぶ声や 大きな瞳や 抱き上げた時の重さや すり寄せてくる温かな額や
猫たちとの楽しい暮らし
「ぼく、もうめそめそしないよ。だって、ぼくとことりは ずっとずっと友だちなんだ」
メイはさぁ、
これからも ずっとずっと一緒にいてくれるよね、ワタシたちの胸の中に・・・
メイさんよ、
あんた命に代えてムスコを助けてくれたんだね
「くまとやまねこ」 河出書房新社 2008年4月30日 初版発行
文 湯本香樹実
絵 酒井駒子
by naunyan
| 2012-05-31 23:43
| BOOKS
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